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最高裁判所第一小法廷 昭和28年(オ)828号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由第一点は、当事者の申立てざる事項につき判決をなした民訴一八六条違反があると主張する。しかし、上告人一人が買主ならば代金全額を上告人に請求できるが、上告人と外一名の共同買受ならば商法五一一条の適用される場合に当らない限り、代金債務は分割されて半額しか上告人に請求できないわけであり(民法四二七条)、全額の請求に対し半額の請求すなわち一部分の請求が認められる結果となるに過ぎないものであつて、別段民訴一八六条違反の問題を生じない。また共同買受を認め原審の判示のごとく商法五一一条が適用される場合に当るときは、上告人に対し全額の請求が認められる結果となるに過ぎないものであつて、この場合にも別段民訴一八六条違反の問題を生ずる余地がない。されば原審が弁論の全趣旨により共同買受を認めたことを以て、所論の違法ありとする論旨は採るを得ない。同第二点、第三点の論旨は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて、すべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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